みなさん、パーキンソン病って知っていますか?
病名は聞いたことがあるという方は多いと思います。しかし、実際にどんな病気なのかということは、あまり知らない方も多いのではないでしょうか。
パーキンソン病患者さんの治療の一つに脳深部刺激療法(以下、DBS)という治療があります。DBSでは、神経刺激装置を使って症状をコントロールしていきます。当ステーションでは、スタッフの全員がパーキンソン病患者さんのDBSの術後のケアと管理に携わってきました。しかし、治療や装置の仕組み自体は変わらないもの、年々装置も進化していきます。
今回はパーキンソン病患者さんのDBSに使用される装置について、知識のアップデートのために、日本メドトロニック株式会社の西さんにお越しいただいて説明していただきました。
メドトロニックは、1949年にアメリカで設立された会社で、1975年に日本で日本メドトロニック株式会社が設立されました。
メドトロニックでは、ペースメーカーをはじめ、医療デバイスの開発・販売を事業とする会社で、パーキンソン病の患者の脳深部刺激療法のデバイスを取り扱っています。
パーキンソン病とはどのような疾患か、またDBSとはどのような治療か、あまり馴染みの無い方のために簡単に説明します。
1.パーキンソン病とは
パーキンソン病は、神経伝達物質であるドパミンが減少することによって発症する原因不明の神経変性疾患で、難病指定にされています。進行性の病気で一旦病気になると治癒することはなく、症状がゆっくりと進行していきます。
パーキンソン病の患者さんは1000人に1人〜1.5人ぐらいと言われており、60歳以上では100人に約1人がなると言われています。したがって、今後一層高齢化がすすんでいる中で、パーキンソン病の患者さんも増えてくることが予想され、身近な病気になってきているともいえます。
パーキンソン病には4つの特徴的な症状があります。
① 自分の意思に反して手が震える振戦
② 体が動かなくなったり動きがゆっくりとなる無動・動作緩慢
③ 筋肉が固くなり柔軟性がなくなる筋固縮
④ 転倒しかけた時にバランスがとれない姿勢反射障害
2.パーキンソン病の治療は
パーキンソン病の治療は薬物治療が中心となり、その他にも筋力低下を防ぐためにリハビリを行います。
ただし、薬物治療を長期にわたって続けていると、運動合併症が現れます。
運動合併症は①日内変動と②ジスキネジアの2つです。
日内変動は、薬の効果が効いたり効かなくなったりする症状です。
ジスキネジアは、自分の意思とは無関係に、頭、手、口、体などが不規則にクネクネと動いてしまいます。
運動合併症は軽減するためには薬剤を減量する必要がありますが、減量すると動ける時間が減ってしまいます。
ここで、運動合併症を減らし、かつ動ける時間を減らさないようにするための治療として脳深部刺激療法(DBS)が適用となります。
3.脳深部刺激療法(DBS)について
DBSは運動合併所を減らすために薬物を減量し、薬物を減量した分を脳神経刺激により補うという治療になります。
したがって、DBSにより治療の進行を止めたり、すべての症状を改善するということではなく、あくまでも薬の効果を補うことが目的となります。
4.DBSを受けた患者さんのケアについて
DBS後には、初期では術後創のケアが必要となってきます。また、在宅では機器の扱い方や電池残量の確認や充電などの管理が必要となってきます。また、パーキンソン症状は継続しているので、生活の支援も必要となってきます。
5.DBSの装置を実際に触ってみて
DBS用の機器はプログラマと呼ばれる機器を用い、神経刺激装置の電源のOn/Offや刺激の強さの調整を行っていきます。プログラマのボタンは少なく、シンプルに操作できるようになっています。以前は、操作できることは神経刺激装置のOn/Offや電池残量の確認などでしたが、最近の装置では患者さん自身が医師の定めた範囲内で調整が可能となっています。また、神経刺激装置も充電可能が可能になってきており、充電自体も簡単にできるようになっています。
6.まとめ
パーキンソン病の患者さんが在宅でよりよく生活していくためには、患者さんの症状や生活習慣を理解した上で、生活の質を高めるための支援が必要となってきます。そのために、内服管理やリハビリテーション、日常生活の援助はもちろんのこと、DBSの治療後はしっかりと神経刺激装置を管理していくことが重要となってきます。
メドトロニックでDBSの治療に関するサイトを運営していますので、興味のある方は参考にしてください。
Webサイト
「パーキンソン病の手術療法 脳深部刺激療法(DBS)deep brain stimulation」
当訪問看護ステーションでは、パーキンソン病の患者さんの訪問看護についても力を入れています。DBSの治療後の管理もしっかりと対応させていただきます。
ご依頼をお待ちしています!
参考
難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)」http://www.nanbyou.or.jp/entry/169(2017年5月13日)

